やめてくれ! そう声にしたいのに、出てくるのはくぐもった呻き声だけだ。
体中が熱い。痛いほどに張りつめたもののせいで腰が自然に動いてしまう。
粘液にまみれた井上の手が本城を極限まで追い上げようとしていた。
「あ……あ…あ…」
が、それは突然に途切れた。
開放されたのかと安堵するのと、中途半端なところで突き放されてもどかしい思いが交じり合う。
本城が肩で荒い息をつきながらやっとのことで目を開けると、ジーンズも下着も乱暴に剥ぎ取られ
うつ伏せに組み伏せられた。
何をされるのかは、本城にもわかる。わかるが、脚に力が入らず井上の手にあっさりと開かされて
しまった。
「や__、やめてく…」
井上は本城の怯えなどまるで気にもしていないようだった。
ひんやりとしたジェル状のものが目的の場所に塗りこまれてゆく。
太い指が意外にもすんなりと入ってくる。本城には信じられなかった。
骨の太い、今、本城の顎を掴んでいる、その気になりさえすればその顎など
砕いてしまえるような指が、だ。
そして、それは二本に増やされ、奥をさぐるように動いた。
「____っあ!」
ある一点に触れると、今までとは違う感覚が背中を駆け抜け強制的ともいえる射精感が襲った。
「んん___!! 」
イくまいとして、最も奥に達した指を食い締めてしまう。
井上は喉の奥で笑い、指の代わりに自身をあてがうと一気に本城の中に入ってきた。
「ああ___っ!! いや、いやだ! あぁっ」
「嫌なヤツがこんなに喰い締めるわけがない__こっちが痛いくらいだ。
本城、少し緩めろ」
そんなバカなことがあるものか、自分から迎え入れるような真似ができるか___
「ほら、お前のだって苦しそうだぞ__奥を開ければ楽になれるんだ」
再び井上の手に絡め取られたものは今までのどんな時よりも張りつめ、シーツに大きな
染みをつくるほどに濡れていた。
「あう__っ…ん」
「よし、そうだ。もっと___もっと奥を開け」
言いながら、井上は何度も抜き差しを繰り返した。
そしてついに、その全てを本城の中に収めてしまった。
「______!!」
本城が声にならない悲鳴を上げた、その時___
携帯電話が鳴った。
「邪魔しやがって」
井上が放り投げた本城のジーンズから携帯を引き抜くと、ウィンドウは風間からの着信を
知らせていた。
「出ろよ。風間には帰るように言え」
ほら___、と通話ボタンを押して耳に押し付けられる。
(本城さん? どうですか、まだ終わりませんか?)
痛みと無理矢理に追い上げられた性感とで、思うように口が開かない。
返事ができないでいると、井上がまたズイと体を進めてくる。
「!!!っ」
(本城さん? あれ…電波がおかしいのかな…)
「だ、大丈夫、聞こえてる。時間がかかりそうだから、おまえは帰れ」
(え、でも…)
「明日の作打ちなら心配するな。こっちが終わればできるよ___
こっちは車ひろって帰るから」
(でも、遠いですよ?)
「いい、から…帰れ!」
風間は納得しない。見かねた井上が本城の耳元から携帯を取り上げた。
「おお、風間。悪いな__少しコンテに変更が出そうなんだ。ああ。
後でファックスするから、差し替えの用意だけしといてくれ。じゃあな」
言うだけ言って、携帯の電源そのものを切って本城のジーンズの上に放り投げた。
厄介払いを済ませると、井上は今度こそ本城を最後まで追い上げた。
本城は今まで触れられなかった乳首をこね回され、耳に舌を差し入れられ、
今、全身がこのセックスのモードになってしまっているのをまざまざと感じた。
“いけない___、これは、まずい___こんなのは”
思いながら本城は声を上げ続けた。